2022.02.25
「大崎耕土」と呼ばれる宮城県大崎地域(大崎市・色麻町・加美町・涌谷町・美里町)は、古くから受け継がれてきた伝統的な農業システムにより、肥沃な土壌を形成し、自然や生き物と共生することで発展を遂げてきた地域です。2017 年には世界農業遺産としても認定!近年、大崎地域で豊かな自然を楽しみながら旅を楽しむ「体験型観光」が注目を集めており、ツアー商品の検証も盛んに行われています。
ここでは大崎地域の自然の魅力をご紹介します。
内川は、伊達政宗公が岩出山に居城する際に、城を守る防御用の堀と生活用水、農業用水の確保を兼ねて整備された人工の河川です。
この歴史的な価値が認められて、「疎水100選」「世界かんがい遺産」に登録されています。
その風情から岩出山は「伊達な小京都」とも呼ばれています。また、川沿いには「学問の道」が整備され、地域住民の憩いの場として、観光散策路として親しまれています。
大崎耕土の全域に広がる居久根には、約400年前から先人たちの知恵が詰まっており、人々の暮らしを守るだけでなく、多くの生きものたちを育んでいます。
居久根は、母屋の北西側を囲むように様々な木々が植えられ、強い季節風や洪水による流木から家を守ります。また、居久根の中では果樹や薬草、野菜などが栽培され、人の生活を支え、生きものが集まり、自然豊かな生態系が生まれます。
大崎市田尻地域に広がる蕪栗沼は、毎年秋になると10万羽を超えるマガンが飛来する国内でも有数の自然環境が残る湿地です。
マガンをはじめハクチョウやカモなどの渡り鳥の他、絶滅危惧種であるオジロワシやチュウヒなどの猛禽類も見られるなど、野鳥の楽園として知られており、貴重な湿地性の植物や昆虫など多種多様な動植物も見ることができます。
2005年には、蕪栗沼だけではなく周囲の水田もマガンをはじめとした多くの生きものを育む場所として認められ、世界で初めて水田の名称が入った「蕪栗沼・周辺水田」としてラムサール条約湿地に登録されました。
沼周辺の水田では、冬の間に水を張り、農薬や化学肥料を使用しない栽培をすることで、渡り鳥と共生する「ふゆみずたんぼ」が取り組まれ、生きものにも人にも優しく、おいしいお米が育てられています。
冬の朝、数万羽のマガンが地響きのような音をたてて舞い上がり、空一面を覆い尽くす景色は誰もが圧倒されます。
これらの自然を堪能しながら豊かな伝統文化を体感できる大崎地域。
ここでは紹介しきれませんでしたが、愛宕山や船形山をはじめ、箟岳山、江合川や鳴瀬川など自然に関するスポットがまだまだたくさん。現在でも多くの農家さんがこの地域で自然と共生しながら大崎耕土ならではの「幻の伝統野菜」をはじめ、美味しい食材を丹精込めて生産しています。
一部の農家さんでは幻の伝統野菜を自分で収穫し、その場で調理していただける体験型コンテンツも実施中!
地元の美味しい食材を食べて、その食文化と大地をフィールドワークする。
大崎地域は「たべるフィールドミュージアム」と呼ばれています。
お買い物スポットでお弁当を買って、ビュースポットで風景を眺めながら食事をする。
直売所で食材を買って調理して、地元食材を知る。
農業体験をして、世界農業遺産の奥深さを感じる。
歩いて、食べて、思い思いの方法で大崎地域をお楽しみください。